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2017年9月14日 (木)

散歩する侵略者を見てきました。

ようこそのお運び、厚く御礼申し上げます。


『散歩する侵略者』を見てきました。個人的ランクC+。公式サイトはこちら


いや、思ったより楽しめました。とにかく、各役者さんたちが非常にいい演技をしているからです!


冒頭から「ほほぅ!こうくるか!」と。意外と暴力シーンがありますので、そういったものがだめな人は、この映画は避けた方がいいかも?バイオレンス映画ではないので、ひどい暴力はないですよ。後でわかりますが、なぜ冒頭で金魚から始まるのか?これも、ほほ〜、そういうことだったのね、と。


でもこの映画は、SF(ちょっと)ホラーと言うべきではないか?と思います。サスペンスとはちょっと違うような・・・。


侵略の仕方がとてもおもしろい!人間の持つ『概念』を奪う。非常に抽象的ですが、人間ってこの概念が人間とか、社会を形作っているといえませんか?その概念を奪われたら、人はどうなる?社会は?おもしろい侵略の仕方だと思いません?記憶じゃないのですよ。記憶だと、その個人だけのものです。人類という大多数に対する、普遍的なものという意味では、人間の持つ『概念』を奪う、というのは理にかなっていると思います。全人類がおなじ概念を持っているわけではありませんが、少なくとも一つの国の国民なら同じ概念を持っている可能性が高いわけで。善悪というのではないのですよ。正直、善悪って概念なのか?善悪が概念なら、この侵略者が奪わなかった理由がなくなります。いや、侵略者にそもそも善悪というもの自体ないのと同時に、その善悪という抽象的なものに対する興味すらもないのでしょう。なにしろ、今の人類ですら、善悪という抽象的なものは、そのときそのとき、人それぞれころころ変わりますからね。普遍ではないのですよ、善悪って。普遍的な概念であるなら、ここまで人殺しや詐欺などがはびこるわけないです。


主演の長澤まさみさん、冒頭から怒りっぱなしです。劇中、怒っていないことの方が少ないと思えました。😓彼女と旦那(松田龍平さん)の夫婦関係の修復(?)もこの物語の重要な部分だと。さて、二人の関係はどうなるのか?は、劇場で。しかし、見ていて腹が立ったのは、彼女が仕事をもらっているデザイン会社の社長のセクハラ&パワハラ!!彼女が美人でフリーランスだから、仕事を『与えてやっているんだ』という立場だから、ということなのでしょうね。見ていて、『この糞が!』と腹が立って!フリーランスだからといってなめんなよ!です。人は、自分の立場が上(経済的、肩書きだけ、性別等々)だと思うと、どうしてこうも簡単に他者を見下すんでしょうね?この侵略者たちの方が、もしかしたら平等なのかもしれないと、ふと思いましたよ。


侵略者だけあって、人間のことなんてこれっぽっちも考えません。そうですね、例えるなら人間が蟻のことなんて何も考えていないようなものです。歩いているときに、わざわざ蟻をよけて歩きますか?気にしてませんでしょ?それと同じです。しかも、どうやら侵略者たちは、自分の命(という概念があるのかどうか?)すらも気にしてません。侵略者の本体は、人間の目には見えないエネルギー体なのか、精神体のようなものみたいです。悪霊が取り憑くみたいな、憑依ですね。この侵略者たちが人間から概念を奪い、蓄積し、その結果どうなったか?特に、松田龍平さん演ずる加瀬真治が妻(長澤まさみさん)からある概念をとったことで、侵略者たちがどうなったか?です。ここもおもしろかったんです。侵略者たちには、その概念がなかったわけですから。いや、もともと彼らは感情というものがないのではないか?その生命体のことを考えると、生物学的、生理学的見地から想像するとワクワクしますけど。彼らはどういう社会構造をとっているのか?とか。


ジャーナリスト役の長谷川博己さん、今作では終盤近くまで抑えた大人としての演技をしますが、その終盤で、はち切れた演技をしてくれます。そう、『地獄でなぜ悪い』の時のような、はち切れっぷり!いやぁ、彼の演技力に改めて感服しました。しかも、彼の演ずるジャーナリスト桜井が、良くも悪くも人間ってこういう風だよなぁと強く思わせてくれます。終盤近く、桜井がある場所で民衆に向かって叫びます。そして真実を告げるのですが、誰も聞く耳を持とうとしません。そして桜井ががっかりしながら言います。「そう、そうだよな。(自分の言い分を聞いて)動くわけないよな」。このシーンが妙に心に突き刺さりました。すぐ目の前に危険が迫っていても、動こうとしないのが日本人です。誰かが動いて、それにつられるように多くの人が動くようになってから、初めて動きます。まず自分から動こうとしないのですよ、日本人って!他人と違う行動をとることを極端にいやがる民族ですね、本当に。個ではなく、集団でしか動けないのか?自分の頭で考えて動く、と言うことをしません。ほーんと、まるで日本人って、生体アンドロイドと同じですわ。


女子高校生、立花あきら役の恒松さん、うん、なかなかによい演技でした。『人間ってこういうものなのか?』という雰囲気を、とてもうまく作っていたと思います。彼女の演技のおかげで特に思いましたね、この侵略者というのは感情というものがないんじゃないか?と。


この作品で一番不気味なのは、天野くん(高杉真宙さん)でしょうね。目的のためなら手段を全く問わない、まさに何を考えているのか人間には理解できない侵略者というのを、非常にうまく表現していると感じました。仲間に対しても、非常に淡々としています。もともとの侵略者に感情とかそういうものがなければ、こういう対応になるのだろうな、とは思いますが、それでも気味の悪さを感じずにはいられません。


久しぶりに小泉今日子が出演!医師役ですが、映画で見るのは久しぶりな気がします。『踊る大捜査線 The Movie』での猟奇殺人鬼役がすごく印象に残っているので、ある意味新鮮というか何というか。個人的には、踊る・・・の時のような、ああいう強烈な個性を持った役柄の方が、彼女に似合っているように思うのですが、いかがでしょう?


人類は侵略から生き残れるのか?それとも殲滅されてしまうのか?これはぜひ劇場で見てください。個人的には、あの終わり方は嫌いじゃないですが、もうちょっと説明がほしかったかも?と感じました。なぜ彼女がああなってしまったのか?と言うところに。だって、『○』は尽きないものですし。


見る人を選ぶかもしれませんが(SFですので)、内容はおもしろいと思います。人を人たらしめている『概念』が奪われる。あなたはどう感じるでしょうか?

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