ショコラ 君がいて、僕がいるを見てきました。
ようこそのお運び、厚く御礼申し上げます。
『ショコラ 君がいて、僕がいる』を見てきました。個人的ランクB+。これは良い映画です。公式ホームページはこちら。
20世紀初頭の道化師というか、コメディアンと今なら言えるのではないでしょうか?二人のコメディを見ていて思い出したのが、ドリフターズのコントを凄く強く思い出しました。現代のコントの基礎を作ったのは、この映画の二人だったのではないか?と。
当時のフランスというか、ヨーロッパでは人種差別が普通だったこと、改めてこの映画で思い出しました。そんなに白人が偉いのかよ!と腹が立って仕方がなかったです。たかだか、肌の色の違いだけでよくもここまで差別できるものです。人間って、今も差別がはびこっていますが、100年経ってもなんら変わりがないのですね。人間は変わらないと言うより、変わりたくないのでしょう。なぜそれほど変化を怖がるのか?安定というのは死と同意なのですけど。
ショコラ、彼は酒とギャンブルにのめり込んでいきますが、単純に考えると彼はギャンブル依存症、深く考えると彼の生い立ち故に脳の神経接続が刹那的な生き方に固定されてしまったと、医療者として考えてしまいました。嘘だと思いますか?残念、嘘だと思う人は無知なだけです。子供時代に貧困だったり強烈なストレスにさらされていた場合、それが脳の神経接続を永続的に変化させてしまうことは、実験で分かっています。ショコラも確か7歳程度で親元を離れて奴隷として売られています。
相方のフティットも、彼にもっと強く賭け事をするなとかアドバイスをしてもよかったのでは?とついつい思ってしまいました。でも、きっとショコラは聞く耳を持たなかったでしょう。私も同じような経験があるというか、日々の治療でよく経験するので大変実感できますわ。たとえ親身になってアドバイスをしても、聞く耳を持たない相手には何も言いたくないとなりますから。もう、私の先も短いのに、なぜ聞く耳を持たない人に自分の時間とエネルギーを使って説得しなくちゃいかんのか?と思いますもの。聞く耳を持たない人はそのままで結構。聞く耳を持つ人だけきいてくれれば、それでいいです。そして事実なのですが、聞く耳を持つ人は劇的な回復を見せるのです。患者さんには私の知る限りの選択肢を提示します。あとは、どれを選ぶかは患者さん次第です。私の責任ではありません。こう書くと、必ずと言って良いほど「その態度は医療者として間違っている」と言ってくる輩がいます。ですがね、聞く耳を持たない人にいくら親身になってアドバイスをしても、どれだけ時間と労力をさいても聞いてくれないのですよ!昔から、仏の顔も三度と言います。これは至上の格言です。三度アドバイスされても聞き入れないようであれば、それ以上は無駄です。聞く耳を持たない人を振り向かすまで諦めない、と言う気迫のある方。ただただ尊敬しますわ。どうぞ諦めずに続けてください。私はそこまでの時間もエネルギーも持ち合わせていないだけです。
中盤にショコラがフティットに「なぜ笑わない?」と問います。彼は「心で笑っている」と答えます。実際、彼は劇中笑顔を見せないのですよ!!これは必見です。私のこのブログを読んでから映画を見る方は、フティットが全く笑顔を見せないことをしっかり確認してください。ですが、その彼がこの劇中、ただ一度だけ笑います。このシーン、もう涙なくては見られませんでした。理由はぜひ映画を見てください。
人種差別がいかんともしがたかった時代、黒人とコンビを組んだ白人、そして黒人と結婚した女性。どれほど辛い目に遭ったことでしょうか!私もアメリカで、そして帰国してからの日本で差別を受けた経験者として、当時の彼らと比べれば私の経験した事なんて鼻で引っかけられるほどでしょう。そんな微々たる経験でも、心底嫌な思いをしました。彼らが当時経験したこと、本当に人間としての尊厳すら無視されるのです。その辛さを想像するだけで心が引き裂かれそうになります。この辛さ、普通に日本に住んでいるほとんどの日本人には、全く理解できないでしょうね。この映画を見て、自分がその差別される立場になると想像してみることを強くお勧めしますよ。少なくとも、差別される立場になることを想像できるなら、そういう想像のできる人間なら間違ってもヘイトスピーチをするような腐りきった輩になることはないでしょう。
この映画、全ての人に見て欲しいです。本当に良い映画です。
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